公立千歳科学技術大学の学生が、千歳市を対象エリアとして、フィールドワークなどを実施しながら、千歳市が抱える課題に対する企画・提案に取り組みました。
報告会
令和8年1月に、活動にご協力いただいた千歳市や市内の高校、埋蔵文化財センターの職員に向けて行われた報告会では、グループごとにこれまでの活動を踏まえた課題解決の提案を行いました。

- 千歳市役所におけるスタンディングデスク導入が職員の働きやすさに及ぼす影響 ー心理・生理指標を用いた評価ー
千歳市役所では、資料作成や電話対応などによる長時間の座位作業や執務フロアの狭隘化が課題となっており、これらの課題はストレスのかかるオフィス環境の直接的な要因となっています。
これらの課題解決のため、学生たちは千歳市役所にスタンディングデスクによる立位作業環境を導入し効果検証を行いました。市職員協力のもと、ウェアラブル端末を用いた座位作業と立位作業でのストレスチェックを行い、データを分析することで効率的な作業姿勢について提案しました。
- 高校生の学習における生成AI利用の実態調査
昨今の生成AIの普及により、学習環境は急速に変化しています。その一方で、生成AIの仕組みに対する理解が十分ではなく、リスクが認識されないまま利用が広まっている可能性が考えられます。
そこで学生たちは、実際に千歳市内の高校生を対象に生成AIの利用に対する意識調査を行い、使い方や想定されるリスクについての授業を実施しました。授業の結果、高校生たちは「情報源の確認をしたい」「疑いを持ちつつ付き合っていきたい」と意識の変化が見られ、生成AIの仕組みについて理解が広まるきっかけとなりました。
- 千歳市空港開港100年記念事業におけるARの有効性評価と導入の提案 ー開港100年記念事業の調査と検証ー
千歳市では、「北海1号機」が千歳着陸場に飛来してから2026年で100年を迎えることを記念して、「千歳市空港開港100年事業」を実施しています。学生たちは、その事業における現状の課題を探るため、千歳市担当者へのインタビューやまちライブラリー、学内でのアンケート調査を実施し、調査の結果「北海1号機」の展示が不可能であることや若年層への認知拡大不足などの課題が挙げられました。
学生たちは課題に対して、AR技術の活用が有効ではないかという仮説を立て、学内の学生を対象に記念事業や開港の歴史を紹介するポスターの展示や「北海1号機」の3Dモデルを作成し、ARで体験してもらうなどの実証実験を行い、アンケートの結果から、記念事業におけるAR技術の有効性を示しました。
- 未展示パネルを活用した顧客満足度の向上 ー千歳市埋蔵文化財センターのバックヤード調査に基づくサービス提案ー
千歳市埋蔵文化財センターにおける来館者の満足度向上を目的に、学生たちは企画展の際に作成する保管パネル(未展示パネル)に着目し、このパネルを活用したサービスを考えました。
保管パネル(未展示パネル)はより詳細な解説が記載されているため、常設展示のパネルを見て興味を持った内容について、AI分析を活用して保管パネル(未展示パネル)で補足説明をする仕組みを考案し、実際に専用のアプリを開発し、学生を対象に効果検証を行いました。検証の結果、多くの学生がアプリは展示の補助に役立つと回答したほか、今後の展望や新たな課題についても発見することができました。
- 常滑市の事例を基にした千歳市観光施策への展開
学生たちは、愛知県常滑市を事例として観光施策を整理した上で、同市のMICE施策に着目し、千歳市の観光施策への展開可能性について検討しました。
常滑市の観光戦略やMICE施策の取組内容を整理するとともに、人口規模や空港、宿泊施設等の観点から千歳市との比較を行いました。あわせて千歳市の現状を踏まえ、常滑市のモデルデザインをどのように活かすことができるかについて検討しました。その結果、千歳市で開催される「エアラインリーダーサミットアジア」は、交流人口の拡大や観光振興につながる重要なMICE機会であると整理しました。
- 千歳市来訪者の動向調査
各種人流データを活用し、千歳市を訪れた人々がその後どの地域へ移動しているのかを分析し、現状を整理しました。
その結果、市内への来訪者はゴルフ場利用を目的とした層が多い一方、市外へ移動する人の流れとしては、すすきの方面に向かうケースが目立つなど、千歳市における需要の特徴や課題が明らかになりました。
こうした状況を踏まえ、市内での滞在・消費につなげる工夫に加え、常滑市の取組事例を参考とした空港利用客を主なターゲットとする施策の必要性を提案しました。
講評
参加した市職員をはじめ、ご協力いただいた高校や埋蔵文化財センターの職員の皆様からは、「すぐに実装につながるような素晴らしい内容だった」「千歳科学技術大学ならでは技術や知識で仕上げていただいた」「ぜひ今後もご協力いただきたい」といった、非常に高い評価の意見が寄せられました。 (令和8年1月)
石狩振興局では、若い世代のみなさまが、地域に愛着を持ち、将来にわたって石狩地域と関係を持ち続けることを目的に、若者の地域活動の支援を行っております。石狩振興局と連携を希望する大学・高等学校がありましたら、石狩振興局地域政策課までお問合せください。


